しつけについて。
アルプスの少女ハイジは、あるときクララのもとに行かせられることになりました。
しつけを受けるためです。そのことはおじいさんからは、ハイジには知らせられていませんでした。
クララと一緒にお食事をするのですが、厳しくしつけられます。パンを食べるとき、くちゃくちゃ音を立てないように。スープを飲むとき、スプーンでお皿をガチャガチャとさせないで静かに飲むこと。
いま日本で、こんなふうに躾をしているところはあるのでしょうか。いや、日本に限らず、世界でそんな躾をしているところは、いったいどれほどあるのでしょう。
何百年かのむかしは、階級がありました。身分が違っていました。日本では士農工商ですね。武士はお百姓さんとは違いました。西欧では、地主・貴族・平民などでしょうか。普通のひとたちは貴族に憧れる。貴族は、たいていはお金持ちですから、しつけも違っているわけです。身分差別がよいといっているわけではありません。身分が上のひとが不正を働いてよいわけもありません。しかし、身分の違いによって、何らかの意識の違いがあり、互いの身分間でけん制するブレーキや、憧れるアクセルのような雰囲気があったのではないでしょうか。このような身分の人にはこれこれをしてはいけないとか、この身分のような立派な人になりたいとか。そのような目標をもって生きていく糧とするような感覚があったのではないでしょうか。現代では、平等主義ですから、そのような意味での身分差別はありませんが、それと同時に中級や下等意識が植えつけられているような気がします。上流階級になるにはどうすればよいか。上流階級はたいていお金持ちですが、その逆は成り立ちません。いや、現代では成り立つのかも知れませんね。お金さえあれば、しつけがまずくても乱暴を働いても上流階級でしょうか。性風俗などが乱れていては、ただの野獣と大差無いような気もしますが。むずかしい問題になってしまいました。話を戻しましょう。
さて、ハイジのおじいさんも、ハイジの将来のことを考えて、理想的な「レディー」に近づけるようにクララのもとにやったのでしょう。そのような何かの目的、そういったような理想像がなければ、「しつけ」は形だけの号令に終わってしまうのではないでしょうか。
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